今日は会社を休んだ。

用があるわけではない。ぶらり一人で、軽く手頃なカメラを探しに行きたかった。デジタルか銀塩か。デジタルは妻に却下されたので銀塩。35mmかブローニーか。軽さで種類が豊富なのは35mm。新品か中古かで新品ではフジのクラッセWが候補であった。海外でいえばコダックがカメラつくってるような感じで量販店で触ってみたがぺにゃぺにゃしていてよくない。中古店は都内では銀座、新宿方面に偏在している。錦糸町に寄ることも少し考えたがまず新宿に行くことに決め、山手線に乗った。新宿に着いてから考えが変わり中野へ寄ることを思いついた。上京して初めて棲んだ町が野方でしょっちゅう中野からバスで帰宅していたことを思い出した。北口を降りてみわたすと昔乗り降りしていた頃と町並がほとんど変わっていなかった。モールをまがり細い道をぬけたところにある店へ入った。当時の同僚たちと会社を興したこと、歌舞伎町で知り合った女がだした店はこの近くにあり一度だけ行ったこと、I.E氏と最後に呑んだキャバクラもここだったこと、などあのころの顔がひきつっていくようなまがまがしい気持ちが去来した。レンジファインダーのカメラを探した。ミノルタのカメラが出ていた。年配の店員に声をかけた。詳しくないというと、撮影の仕方など厳しく、だが丁寧に教えてくれた。目当てのカメラは、追針式で不便で壊れたら治してくれないしこんなのだめだよ、といって新品のレンジファインダーのカメラとニコンの一眼レフを出してきた。店としては新品の方が儲かるのだろう。店をでて新宿の中古店を覗いた。同じ機種が並んでいたが1万以上も高価だった。踵を返して中野に戻ってさっきの店員に声をかけてまた見せてもらった。というわけで今ミノルタCLEという名のレンジファインダーのカメラが手元にある。6万6千強であった。カメラを買うということはこんなに疲れるものかと痛感した。そして二眼レフの売却を決意した。しばらくこんな疲れることはしたくない。このカメラの名前を募集している。店にあやかりナカノちゃんとかフジコちゃんとか考えたがおっさん臭が漂いほかにいいのないか思案中である。山手線車中で読んだ本は下記

隅田川暮色 (文春文庫)

隅田川暮色 (文春文庫)